1月と10日目

出汁になりそうな(出汁というと、失礼かな)、旨味を惜しみなく提出するであろう牛肉と牡蠣を煮含めて、野菜は玉葱だけとし、生姜を臭みを消すために加えたひとつをつくりました。

鯖か、なにか、魚をメインにした料理において、塩を振ってそこから出た水を拭き取る作業について、「味の道をつくる」と書いてあった。
その作業により、醤油や酒、またはみりんといった他者が入りやすくなるそうだ。
そう書いた人、メモ。きっと、示す人。

笹尾根


目の前に広がる展望がおよそやって来ないような、終わり無きブナ林のあしもとをただただてくてくと歩きたく、笹尾根にゆく。

バスを一人降りたあとも、山のなかで人に遭うことはなかった。

寄ってくるのは虫たち。聞こえるのはその羽音または鳥や風が木をゆする音。たまにある木漏れ陽に視界をほぐされつつ言葉の無い世界の自由のなかを。

備忘録

思い出す演劇
6/24 「キリング・フィールドを越えて」(演出/オン・ケンセン、静岡にて)
6/27「太陽がいっぱい」(劇団どくんご井の頭公園にて)

ほかに
6/29 「駒井哲郎展」(世田谷美術館
銅版画を専門にしていた人に薦められて。見ていると静かに入り込まれる感触。うすくトビラが開き、柔らかい光が差し込む「室内」という作品が好き。ささやかなコトに、とても肯定的。
銅版画は版を腐食させるため、その化学変化は人の力ではなく、自然的な偶発性に委ねるところが大きいとのこと。作家が腐食時間を計算、調整して制作しても、その通りにはならない。できあがりは作家の手からいつも離れた表現。人の手(人工)と自然現象(自然)。

次回企画展案内あり。「村山知義の宇宙 すべての僕が沸騰する」。他の美術館で開催していた時、同じ人に薦められてつい忘れてしまっていたけれど、この機会にこそ。

ユーシン渓谷


6月23日、曇り。前日の大雨でユーシンロッジ手前で崖崩れ。行き止まり、引き返す。

水をぐいぐい吸った緑たちがもくもくと成長していて山がひとまわり大きく見えた。
※メモ:森林文化協会