谷中ホテル

9.25 あやちゃんの自宅兼アトリエである谷中ホテルへ。日暮里駅から徒歩5分。観光地ですので、人がめいっぱいの通りをすりぬけて。
ただいま新しい作品の展示中。もう14回目を数えてる。観る部屋は4畳に満たないせまーい空間でホワイトキューブ仕立てに壁は真っ白。たいてい真ん中で体育座りをしてじっと観ることになる。というか作品と一緒に居るという感じ。作品の他にはひとりぼっち。
今回のホワイトキューブ内には森が写った写真パネルが三つ立てられていて、そのそれぞれの下に画面が天井に向いたモニターが寝かされてある。音は無い。そこには通常の速度で風に揺れる木々の映像、1.5秒くらいのスローモーションをかけて加工も施したやはり風に揺れる木々の映像、そして森の静止画、と思ってよくよく観ると微妙に揺れているのが分かる映像。写真も映像も色はない。
じっと見ていると、時間がもっている心地、その、手触りみたいなものを感じる。音がないために私は、木が風と一緒に立てる音を自分のなかに聴くようになる。
あやちゃんの作品はいつもとても繊細で、たまに苦しくなる。そしてなまけている触覚が起きてきて、自分の状態に注意深くなる。

渡された作品解説、というかその周辺を語るテキストには「待ち合わせる」ことをきっかけに時間について書かれていた。
待ち合わせが苦手。決めた時間のために出かける時間を決めるという時間の見方は、木を組み合わせた何かを「つくえ」と呼んだ途端に機能する机に固まってしまうことに似ている。そんな風に取り扱っていい時間があるでしょうか?というようなことが書かれていた。と思う(あの紙、どこにやっちゃったんだろう?でも電車とか道ばたに落としたなら、誰か拾って、そして観に行ってくれたらいい)。

お茶を。高級牛乳を使用!という自慢のミルクティーは確かに美味しかった。いただきもののクッキーとかと。
机の上にわたしは演劇やダンスのチラシを、あやちゃんはアートリンクのチラシを。
冬には底冷えする古い家屋。この日はちょうどよい秋日和でのんびりできた。