たべもののこと

美味しいものを食べる会、のようなものに出かけた。ずいぶん前に知り、問い合わせをしたところなかなか空きがなく、ようやくという感じで、だからこの会を知った経緯は忘れてしまった。
10人くらいでいっぱいになる部屋でちょうど10人集まった。私ともう一人を除いて、料理か食べ物を仕事にしている人たちだった。パーティなどでケータリングを作っている人、小さなバーを経営している人、雑誌に掲載するごはんのコーディネートをしている人、お酒や食べ物の輸入をしている人。

マスタードシードを使った青菜炒め。砂糖がひとつまみ入っている。カボチャのサラダはカボチャを70度位で1時間ほどかけてゆでる。つまりぐらぐらいわない湯加減でのんびりと。一番甘味が引き出される温度とのこと。ひよこ豆のディップ。粉チーズくらい入っていそうなコクだけど、オイルとにんにくと塩のみ。

秋刀魚のお腹に数種のハーブをみじんに切ってオイルでペーストにして詰めて焼いたもの。
郷土料理にとても関心が向いてそれについて調べている人が二人。そのうちの一人は4月からイタリアに行くそうだ。郷土料理マニアには縦長の国が狙い目、ひとつの国で風土が大きく違うからとのこと(日本もそうだねという話になった)。私が民俗芸能に目が向く理由と似ているところが少なくなかった。
食べ物とお酒の輸入をしている人が、今回の食事に合うワインを選んできてくれた。フランスの、ワインで有名な土地に行っている人が無添加ワインの美味しさを言っていたこと。無添加って遠くまで運ぶのは難しい、だから日本では日本酒だって言っていたことを思い出しながら飲んだ。その話はとても好きで、嬉しい気持ちになる。日本に居ても、例えば少し高めのお金を払えば、どこかの国のものを手にしたり口にしたりできそうな気がしてしまう。でもそこに行かなければ出逢えないそこだけのものがあるということは、とても健全で、そしてそうあるのがいいと思う。
無添加ワインも美味しいそうだ。でも日本ではお目にかかれないと思う。それが嬉しい」と言ったら、みんなうなづいていた。でもやっぱりすごく詳しい人たちだから、「そうは言っても」と前置きをして美味しいワインが手に入るお店を2軒教えてくれた。

今日出たワインは1本1200円〜3000円位のもの。ワインにかかる手間を聞けば聞くほど、メルシャンとかが出している1本400円とかのワインはふしぎ。もしかして葡萄的別果物によるアルコール仕立てのガソリンなの?と問うと、そうではなくて、いろんなところで言ってみれば余った葡萄を集めて、大量生産できる方法をとって作られたものだそうだ。だからいろいろな種類の葡萄が入っていて、きちんとしたワインは「〜地方の葡萄」「〜種の葡萄」と書かれるが、大量生産のものは「葡萄」とだけ書かれるとのこと。なんかこの話、好きだ。「あそこにいるの誰?」「人間」みたいな。高校生とか、男の人、とか、大人、とかの説明って煙たい。


クミンシードライス、レンズ豆のカレー、ピーナッツペーストのトマトスープ、ジャガイモのお団子。
食べに食べてはち切れそうだよお腹と思って家に帰り服を脱ぐと鳩尾あたりからぷっくり盛り上がっていた。肋骨で覆われていないとこ全て外に飛び出す感じで、見たことも無い上半身になっていた。
この日のことをあやちゃんに伝えたく、連絡を入れた。話は会ってからがいいから、内容には触れないメールにした。「おでん食べたい」(ま)「おーいいねー、浅草に美味しいおでん屋あり。遠い?」(あ)「だいじょうぶ」(ま)